脳梗塞第2

 

 第一弾では病気の経緯をお知らせしましたが、いろいろ調べてみると、もっといい治療が受けられ、もっと完全な回復ができる可能性について社会が無関心でおきざりにしていることが見えてきました。医療という全体の仕組みを変えていくことと、とりあえず個人として気をつければ救いになりそうなことをあげてみました。

 

1.        発病後3時間以内の適切な治療が受けられれば、死や身体機能麻痺から救える可能性が大幅に高まる。

2.        3時間以内に専門医に診てもらい治療を受けるには、専門医がばらばらに病院に配置されている状況から、専門医が複数で24時間体制をひいている病院を作る必用がある。

3.        私の経験でもMRIなどの診断装置は不足していてすぐに検査を受ける事が出来なかった。これは、おそらくその技師も含めての資源再配分が必要なのである。(診断装置もなければ話にならない。)

4.        現在のように急性期の治療と回復期の治療を同じ場所で行っていると患者の滞留を起こし、急性期の患者を受け入れるベッドがないという事態を招きやすい。一定の時間経過後はほとんど自己治癒(リハビリも含めて)しかなく急性期の治療とは性格が違うものである。

5.        私が経験したように救急車は、受け入れ病院を電話することにより自分でさがしている。救急病院の状況が常時分かるようなデータベースを作る必用がある。また、救急体制は行政区域で縦割りされていて、区域が違えば近くても空きがあってもその病院は使えない。区域割を超える仕掛けを構想する必用がある。(余談になるが、これは警察も同じ。自転車が盗まれた時にお願いにいったら、世田谷の登録では千葉ですぐに調べられないと言われた。警察のデータベースが行政区域割りになっていたら緊急対応できない。自転車の盗難程度の平和な話の内はいいけれど!)

6.        発症後三時間以内であればt−PAという新薬が血栓を溶かすことができ、極めて有効である事が欧米の治験で明らかになっている。日本でも2005年には認可されることが確実視されているそうである。

7.        つまり、24時間かなり多数の脳卒中患者をうけいれて、かつ高度先進医療を提供できる専門病院を作っていくことが重要で、そうしないと寝たきりや半身不随者をますますふやしてしまい、社会そのものがその負担に耐えられず麻痺していくことにもなりかねない。

 

社会の体制が整うのを待っているだけではしかたがないので、個人的にできることはというと

1.        かかりつけ医を持ち脳卒中予防のための健康管理を行ってもらう。

2.        脳卒中専門医が24時間体制で高度の専門的治療を行っている病院を知っておく。いざ発病した時には、かかりつけ医に相談、あるいは脳卒中専門病院を受診する。(近くで専門医のいる病院を見つけるには 日本脳卒中学会認定 研修教育病院一覧 http://www.jsts.gr.jp/jss12.htmlが参考になります。

3.        なお、t-PA治療については保険外治療ですから、病院やかかりつけ医師との前もっての打ち合わせがないとスムーズにいかない可能性があります。

4.        悪くならないうちに専門医に診断してもらう事が重要です。軽いうちはわかりにくいのですが自己診断としては、頭痛、吐き気、めまいがそろったらかなり可能性が高いでしょう。それに、つばが呑み込みにくいと感じたら麻痺が起こっている証拠です。

 

皆様、転ばぬ先の杖、明日はわが身。社会への働きかけと自己防衛が肝心です。かくいう私がまだまだ準備不十分なのですが。

 

 

参考文献

日本の論点2005 「論点57 橋本洋一郎」 文芸春秋

きょうの健康 「夏の脳梗塞」   日本放送出版協会

日本脳卒中協会のサイト http://jsa-web.org/

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