3.11は首都圏地震への警告(コスモ石油のガスタンク爆発)

 

3.11の時に起こったコスモ石油のガスタンク爆発は、コンビナートの施設が次々に誘発され爆発したとしたらという事態まで想像させるような怖い光景だった。朝日新聞32日の発表“ガスタンク耐震基準見直しへ”によると、この心配も的外れな杞憂ではなかったようだ。

まず爆発の内容がプレビー(沸騰液体膨張蒸気爆発)と呼ばれる危険なものだったという事。1996年、フランスの大規模な爆発事故後に広く知られるようになったもので、84年のメキシコでは数百人ともされる死者がでたそうだ。プレビーが起こると、爆風と熱、タンクの破片が飛ぶ「ミサイル効果」で消防隊が近づけなくなるという事であるから、こんなものですんで本当にラッキーだったのかもしれない。

もう一つの問題はこのプレビーにいたるようなタンク構造上の問題点が、コスモ石油だけの問題ではないことである。ここで指摘されているのは

@    被害のきっかけは、点検中のタンク1基の支柱の筋交いが、午後246分に発生した震度5弱の揺れで破断したことだった。このタンクは点検中で水を入れており、通常より2倍重く、午後315分に起きた地震で支柱が崩れ倒壊した。多くの配管が破損し液化石油ガス(LPG)が漏れたということである。

A    地震前の不具合で、ガス管の弁を「開」の状態で固定していたため、大量のLPGがもれ続け火災となった。火の勢いは強まり、タンクが局所的に強く熱せられた。あぶられた高圧タンクは、弱くなって亀裂ができ、タンク内の圧力が急激に低下。液体が沸騰、大量に期待ができて爆発した。放出された大量のガスに火がつき、ファイアボールとなり、直径は600メートルに達した。

前者の筋交いとは、タンクを支える支柱の揺れを吸収するためについているのだが、倒壊したタンクの筋交いは、2本の柱を交差させ、溶接した構造になっており、交点に想定より2倍の力がかかる可能性があり、正しい構造評価がされていなかったということである。この型の筋交いを持つ球形タンクは全国に219基あり、そのうち補強のないタンクが99基もあるということで構造上残っている大きな問題である。後者については十分な説明がなく、あまり判断・評価がしようがないのだが、長い時間「開」で放置されていたとしたら、サボタージュであり運営者としての義務が果たされていないことになる。

この記事から学ぶべきことは我々がのっかっているインフラ基盤がこんなにも弱いものだということを改めて見直し、早急に対策をとっていくことだろう。3.11は首都圏地震への警告と考えるべきである。地震は待ってくれない。

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