普天間という問題

 

鳩山氏の動機がどこからスタートしているのかわからないが、沖縄県民があまりに気の毒だとか、国内の中でも不当に大きな負担を背負わされているという問題指摘、あるいは感情論だけでは意味がない。

 

1.      沖縄の基地全体が本当に日本の安全保障にとって必要か? 普天間のオペレーションが本当に日本の安全保障にとって必要か?という議論が必要である。

 

2.      日本になくて良いとなった時にアメリカの合意は得られるか?日本にとって不要だとしてもアメリカにとって必要ということもある。日本は占領された国である。交渉するのにも時間がかかる。

 

3.      アメリカは基地を借りているのである。どこの国にいっても安全基準を満たさない限りオペを続けることはできない。改善を求めるべきである。日本の安全保障上必要であったとしても、基地周辺の市民の安全が確保される必要はある。

 

4.      アメリカの同意を得られない、あるいは「出て行ってもらう」ことについて国内の合意が得られないなら、沖縄の負担が他の国内に比べ負担がきつすぎるから、国内で分かちあうべきということになる。

 

5.      それには、いくつかの候補地を選び、地域として実際に合意形成ができる場所を見つけなければならない。どこの地域であっても反対運動の起こらない場所はないのではないかと思う。合意形成ができる場所を作りださない限り、沖縄の負担は減らせない。「沖縄の人たちは気の毒だから県外へ」などというだけでは話を混乱させるだけである。

 

6.      この合意形成には時間をかける必要があるだろうし、オープンでパブリックな場での討議が必要である。総理が何かを言ったから決まるわけでもないし、徳田氏のような有力者を使ったら決まるものでもあるまい。(このあたり、総理の行動は不思議である)この合意形成ができず、議論やにらみ合いの無限ループに陥ってしまうことも多いので、日本には合意形成の教育や訓練が必要である。八ツ場ダムは50年以上もかけて完成できなかったから、中途半端な工事で中断する騒ぎになっている。八ツ場ダムの当初の有効性の議論がどこまで尽くされたかわからないが、50年も争っていれば水事情や色々な条件も変わるし、科学的な根拠もひっくり返ってしまう。(遺伝子検査の技術が新しくなって有罪・無罪の結論でさえ変わってしまうようなもの)

 

7.      沖縄以外のどこかという合意を作りだすためにも、3の議論は重要である。人がまったく住んでいない土地に移すわけにはいかないし、飛行機が飛ぶ航路の下には人家があるのだろう。

 

今回の鳩山総理の行動の仕方は、このステップや流れを飛ばして、自分が決断すれば事が決まっていくかのように勘違いしているように思えてならない。

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