元気を与える?


3.11以来の言動・報道でどうも気になっているのが「元気を与える」という言葉である。

 

先日もスイスのローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した高校2年生の菅井円加さんが喜びの記者会見で述べた事の中に「東日本大地震もあったので、少しでも日本の皆さんに元気を与えられたら」という言葉がある。(日本経済新聞201227日)これは私自身もテレビでこの会見を見ていて確かにこの言葉を聴いている。この「元気を与える」という言い回しは、活躍した楽天の田中選手やら、ゴルフでいえば石川遼選手なども使っていたと思う。菅井さんにしても石川選手にしても本当に気持ちのいい活躍をしてくれている。

 

しかし、どうも「元気を与える」という言葉が私にはひっかかる。与えるというのは上から目線が入るのではないか、例えばお上が与えるというようにである。今の憲法や民主主義は与えられたものであり、自ら摑みとったものではないという時には、たぶん占領軍という絶対の権力者と一般日本人という上下の関係にはまっているのである。どうみてもevenか、上からとしか思えないのが小生の感覚である。マスコミもそのまま報道しているから問題なしと考えているのだろう。(マスコミが第三者として記述するのはおかしくないのだが、本人がしゃべる時にこの言い方がだんだん定着してきている。)

 

おまえはどう言うのかと問われれば、「元気を贈りたい」とか「元気を届けたい」とかだろうか?これも不採用なら、単純に日本を元気にしたいとか、被災地を元気にしたいとか、励ましたいとか言えば良いのだろう。本人が自分の行為について語る言葉として、どうも「元気を与える」はひっかかる。

 

2012414

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