ストレステスト

 

 管総理がストレステストをパスしなければ、定期検査で止まっている原発を再稼働させないと言いだした。管さんを含め民主党の方々、あるいは政治家皆さんの感覚はどうなっているのだろう?

 今回の福島第一原発のことから想定できるリスクは何なのか?例えば、皆十分な高さも堤防もない状態ということになれば止めざるを得ないのかもしれない。電源を複数系統確保できたら安全と見做すのか? どうしたら安全というレベルになるのか、それを大した議論もなく決めたというのだろうか? 対策不十分であれば今回同様な事態に陥るわけである。日本という国土が住めない場所になるかもしれないのだから、それほど気楽な決定ではないはずだ。ストレステストにしても地震と津波の巣である日本でそれに相当することを何もしないで安全宣言をだしたのだろうか? 思いつきで決めたり変更したりするような軽いものではない。

 もう一つは経済のことである。仮に再生可能エネルギーや電力会社以外の持っている発電余力や天然ガスシフトなどによって原発の不足分を賄えたにしても、とてつもないダメージだということなのだ。いわば、個人が一念発起してか、とち狂ってか、借金をして立派な家を建てたはいいが、その家が欠陥品で、しかもその建築業者はつぶれて逃げてしまったというような事態だということなのである。あてにしていた発電によるキャッシュフローが入ってこないから貸していた銀行も回収できない。いずれは料金に上乗せするしかない。新しい発電施設への投資と注ぎ込んでしまった原発への投資を負担しなくてはならないのである。電力料金の高騰は企業の国外への非難を促進してしまう恐れがある。

 よって、建ててしまったその家が全く使い物にならないのかという判定は極めて重要なのである。まして家なら取り壊し費の負担までで済むが、原発は向こう3年以上使用済み核燃料を冷やし続けなければならないというコストがあるのだから。しかし、本当に住んでいることが危険なら止めるしかないし、そのコストは負担するしかないし不足するものを我慢するしかない。それは国民全体の負担でもあり決定でもある。

2011年9月


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