仏壇を見に行くなら

 

父親が亡くなったので、我が家にも仏壇がいるだろうなということになった。

 

一般的に皆さんがいくらくらいの仏壇を、どんなセッティングで持っているのかを知りたくてテニス仲間のところで話題にした。この仲間には長男が少ないようで案外仏壇を持っている人が少なかった。お前もそこに入るのだから良いものを買えとか、じっくり見てから買った方が良いとかさんざんの戯言の後、仏壇を見にいくのだったらどこに行くのが良いかということになった。そこで下町生まれ下町育ちのヤマちゃんが登場して

「そりゃ、浅草橋だよ」、

「え、浅草橋って、人形屋がいっぱいあるよね」と私。

「人形屋もあるけど、仏壇屋もあるんだよ」

「駅を出たら仏壇屋がいっぱい並んでいるところがあるよね」

「浅草の方にもいっぱいあるな」と誰かが言うと。

「ああ、浅草のほうにもあるなあ」

ヤマちゃんは下町のことは良く知っているということになっているから誰も異論をはさまなかった。私もそのまま信用して、仏壇見学のため翌日浅草橋に向かった。

 

12時頃に浅草橋に着き駅を出ると、ざっと見る限り人形屋は見えるが仏具や仏壇という看板は見えない。うわ〜、どっちにいけば仏壇屋があるのか分からん。ネットで調べてから来りゃ良かったと後悔した。妻は責めもせず「歩いていけば、そのうち当たるわよ」とおおらかだった。寒いのにあてもなく歩いたのではたまらん、どっちに歩けば良いかも聞けるだろうと昼飯を摂るため寿司屋に入ることにした。オーダーをした時に思い切って尋ねた。

「この辺に仏壇屋さんが固まってあるときいたのですが、何処へいけば仏壇屋さんがあります?」

「えー、あまり聞いたことありませんね。でも調べてみましょう」と言ってくれた。

しばらくして

「ちょっと行ったところに一軒ありますが、それだけみたいですね」という返事。

「え〜、そうですか! じゃ、間違いかもしれません。」

「でも、あの〜、 駅を出たら仏壇屋さんがドッと並んでるところがありましたよね。ご存じありません?」

また、このお店の人が親切で「調べてみましょう」と言ってくれた。

その結果「わかりましたよ!田原町ですね、それは!」

「うわー、そうでしたか! 失礼しました」

まったく感激そのものでした。

 

結局、都営浅草線で浅草まで行き、田原町まで歩くと仏壇街が見えてきました。

「おお!ここ、ここ、この仏壇街ですがな、私の探してたのは」

50軒以上固まっているそうです。仏壇は20〜30万円くらいのものが多いように見えました。仏壇にはご本尊を置くものだという。天台宗であればお釈迦様か座った阿弥陀様をおくのだそうです。これも3万円くらいからでした。仏像より安くあげるには、ご本尊の掛け軸を使うのだそうですがこれも6000円くらい、そしてこれをかける台座が2000円だそうです。まったく地獄の沙汰も金次第ですなあ。圧巻は5000万円の仏壇でした。壁にも柱にも彫刻が彫られて、東照宮さながらのようなものでした。

 

こうして当初の目的は達したのですが。ひとえに親切な店員さんのおかげでした。下町通のはずのヤマちゃんが、そんな勘違いをするはずがないという甘い期待で、何も下調べをしないで行ったのが間違いでした。ま、駅を降りて看板を見回せば仏壇・仏具の看板が見えるだろうくらいに思っていたし、スマホの地図ソフトを見ればザックリ見当がつくだろうくらいの軽いノリでした。でも、浅草橋周辺で仏壇屋を検索しても出てこないのも当然でした。や〜、親切な店員さん、有難うございました。感謝、感謝! しかし、ヤマちゃん大丈夫かよ? もしかしてアルツ?????????

 

それにしても、妻の「歩いていけばあるわよ」なんていう言葉にノらなくてよかった。この日はやたらと寒い日で、当所もなく彷徨してたら凍え死にしそうな気候。本当にそんな事していたら女房殿にバッサリやられて、ヤマちゃんだって連座、市中引き回しの上、獄門になってるよ。お店で聞いたのがよかった。そして今時めずらしい、親切な店員さんだったのが大ラッキー。

 

参考 上野・浅草通り神仏具専門店会

http://www.shinbutsugu.jp/shop_map.php?PHPSESSID=anuktel31e65flm0gf68jh4kj6
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