基礎年金番号の数が人口よりも上回っている


「基礎年金番号の数が人口よりも123万件も上回っている」という記事に気づかれましたか?(日本経済新聞2010.7.28、毎日jp 2010.7.27)それほど大きく扱われていなかったのが不思議です。

 

それも年齢層別にみると、20歳代後半〜40歳代の層では346万件多く、20歳代前半や50歳代では222万件少ないそうです。日本年金機構の調査は20094月の基礎年金番号と同年10月の人口推計を1歳ごとに比較した結果だということであるが、信じがたい話である。123万件は相殺の結果だから、間違いは年齢層別合計の568万件以上あると考える方が正しいだろう。

 

日本経済新聞には「原因として、氏名が変わったのに気付かずに重複して番号を交付したことや死亡記録が反映されず年金番号だけが残っていることが考えられるという。今後、基礎年金番号同士の情報の突き合わせを進め、重複番号の解消を急ぐ。」とあるのだが、基礎年金番号同士の情報の突き合わせとは何を意味するのだろう?姓名の同じ人間が登録されていないかくらいは事前にチェックしてから登録しているのではないだろうか?改姓が原因だとしたら、名前が同じ、かつ住所が同じ人間とかの再チェックをするのだろうか?ずいぶん手間のかかる難しい調査になりそうである。「5095万件の宙に浮いた年金記録問題」とは別に、基礎年金番号が付いているデータにも、新たな年金記録問題が浮かび上がってきたようである。

 

それにしても、早く国民IDにあたるものを確立しないとどうにもならない。女性は結婚すれば姓が変わるのは当たり前だったのだから、個人としての連続性を保つには姓名に代わるIDが元々必要だった。人の流動性があがり、住所の変更も勤め先の変更もずっと増えているはずである。離婚・再婚もずっと増えているから、この原因でも姓名の変動は増えている。これに性同一性障害で性別の変更や、夫婦別姓により改姓を認めれば更に変動・混乱は増すだろう。結局のところ個人を一個人として、きちっと継続してとらえられる仕組みが必要なのである。それには、やはり国民IDにあたるものを作るしかない。これを放置していると、行政事務に手間ばかりかかってコストが増えてしかたがない。

 

同日の新聞には、東京都足立区で戸籍上111歳のはずの加藤宗現さんという方が自宅でミイラ化した遺体で見つかったという記事があった。死んだのは30年以上も前らしいのだが、この間、足立区から長寿祝いの金品をもらい続け、教員だった妻の遺族年金さえも受け取っていたという。家族による年金詐欺事件に発展しそうなわけであるが、この場合は人口と基礎年金番号の数は、ずれていないはずだから上の数字には影響していない。それにしても似たような話だ。こちらの方もチェックのしようはあったように思える。

 

仕組みも悪いが、携わっている方々が仕事をまじめにやっていない気がする。善管義務を果していないレベルだ。この国はどうなっているのだろう?

 

金井章男 平成2282

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