年金通帳 来年度は断念というニュース

 

民主党の政権公約は、年金通帳を交付することを約束していたのだそうだ。厚労省は社会保険事務所や市町村に約2,200台の専用端末を配置し、ここで加入期間や納付保険料の履歴などを記帳するしくみだ。しかし、予算圧縮の要請から長妻厚労相は、この予算509億円を削減するため来年度交付を断念する検討に入ったということである。(2009124日 朝日新聞、毎日新聞)

 この記事を読んで不思議なのは、どちらの新聞も“来年度断念”であり、パソコン閲覧では不足そうに書いてあることである。“パソコン閲覧で代用”であり、来年度は我慢しても時期が許せばやるべしであり、マニフェスト違反と言いたげである。毎日新聞によれば、“長妻厚労相は会見で「限られた財源の中で税収が落ち込む政府全体の状況があり、少しでも効率的な予算を組むという観点から」と交付断念の理由を説明。世論調査を実施したうえで「国民の求める利便性」を見極め、通帳の将来的な形態を判断するとし、従来の構想通りの通帳交付もあり得るとの考えも示した”なのである。長妻さんも同じ考えなのだろう。

私は、パソコンで各自が閲覧し、年1回または地位変更などが起こる都度、プリントしておけば十分ではないかと思う。既に厚労省のHPから標準報酬月額も見られるようになっているし、依頼すれば将来の年金支給予想も送り返されるようになっている。改竄を心配しての証拠能力が必要なら、電子的な政府からの返答であるという証拠も付けて保管することを勧めればよいのではないだろうか。全国民100%がパソコン持っているわけではないとか、十分なネット環境がないという議論は、意味がない。可能な環境をもった人には、それを利用してもらいコストを下げる。経済的理由や能力的理由で使えない人に対してだけ、特別に手当していく方が、ずっと効率的で安上がりなはずである。ネットをしっかり使いこなすには、税金・年金・医療の共通IDを設け、利用を徹底していくことである。これにより、年金定期便もしっかり本人の元に届くのである。未消化のまま、次から次へとシステムを作るものではない。

200912月 金井)
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